今回は保育士によるストライキと令和2年6/17に出された政府から保育士の処遇に関する通知のおおまかな内容について書きました。
処遇改善のため保育士達が行動し始めている
コロナで緊急事態宣言中、保育園が休業したり利用する子どもの数が減ったことにより保育士の給料を減らした園がたくさんありました。
通常、保育園は国から運営費として委託費が支給されていて保育士の給料もその委託費から出ています。
そして、国はコロナで休業した保育士にも通常通り委託費が保育士の給与に使われるように特定措置を行いました。
しかし、コロナで保育士の給料を減らした保育園がありました。
これはおかしなことです。
保育士低賃金問題の原因として保育園が委託費を適切に保育士の給料に使わないという問題(委託費の弾力化問題)があるのですが、コロナによってこの問題がさらに深刻になったことにより、このようなストライキに発展したのです。
出典 保育士の「ストライキ」が続出 コロナ禍の「税金着服」に怒りの声
※委託費の弾力化問題について詳しくはこちらに書きましたのでよかったら読んでみて下さい。
https://tomokomadokablog.com/hoikusi-kyuuryou-korona-itakuhi-dannryokuka
内閣府、文部科学省、厚生労働省が連名で通知を出した
保育士の訴えや、メディアの動きにより、令和2年6/17に内閣府、文部科学省、厚生労働省が連名で、各都道府県に「新型コロナウイルス感染症により保育所等が臨時休園等を行う場合の公定価格等の取扱いについて」という通知を出しました。
今般、新型コロナウイルス感染症への対応として臨時休園等を行った施設の一部に
おいて、公定価格等の支給を通常どおり受けているにもかかわらず職員に対する賃金
を減額して支払う事案がある旨、報道や国会における議論の中でご指摘をいただいた
ところである。
出典 新型コロナウィルス感染症により保育所等が臨時休園等を行う場合の公定価格等の取扱いについて (内閣府、文部科学省、厚生労働省)
通常、保育園は国からの委託費を受け取って人件費、事業費、管理費として使用しているのですが、保育士の給料もそこから支払われています。
今回のコロナで子どもの利用が減っても国から支給される委託費は減らされることはありませんでした。
ところが、コロナで保育士の給料を減らした保育園が相次いだことにより、報道や批判、保育士の声が国に届き、今回の通知が出たのです。
内閣府、文部科学省、厚生労働省が連名で出した通知の簡単な内容
コロナの影響があっても運営費を通常どおり支給しているので、職員の休業補償は労働基準法上の休業補償の6割以上にとどまることなく通常どおり支給し、運営費が適正に使われているか、自治体に「確認指導監査」を行うように求める。
また、コロナによって保育士の給料を減らすことは、教育・保育の提供体制を維持することにならない。
国が保育園の委託費の使い方に踏み込んだ内容になっています。
このことはとても大きなことです。
コロナが流行る以前から保育園が委託費を保育士の給料に回す額は少なかったのですが、国が踏み込んだことにより保育士の低賃金問題が根本的に見直され、保育士の待遇が改善されるきっかけになるかもしれません。
保育士の待遇改善や園児への不適切な対応に保育士が行動を起こし続けていくことが重要
行動を起こそうとしても園側が保育士に対して「秘密保持」を要求し、外部に相談すると降格、解雇などをチラつかせて行政などへの相談を阻むケースがあるそうです。
しかし、自身の権利救済、違法行為、人権侵害などの告発、通報は「秘密保持義務」解除の正当な理由とされます。
例えば、保育士が給与をきちんと支払ってもらえない場合、自治体や労働基準監督署に訴えたり、労働組合に相談することは当然許されます。
職場内での不正、園児虐待への告発も公益目的として許された通報となります。
保育士は労働関係法によって守られていて、自分自身や同僚の処遇について「公益通報」する権利があり、「公益通報者保護法」もあります。
コロナ以前から保育士の処遇問題はあったのですが、これからは保育士が声を上げて労働環境、処遇の改善、保育園の不正などに対して行動を起こし続けていくことが保育士の処遇改善につながることだと思います。
終わりに
保育は必要とされているサービスです。
しかし、保育に限らず、介護、医療など生活になくてはならない職種に限って賃金が少なかったり、職場環境が悪かったりします。
福祉業界で働く人の処遇を改善しないと、人材が定着せずサービスの質が落ち、結果として利用者に被害が出たり不利益につながると思います。
今回のコロナがきっかけで、このような問題が明るみになったのですが、今まで保育士の賃金を不正に減らしてきた保育園はすぐに改めて欲しいと思います。
