2022.02.02更新
「やりがいの搾取」という言葉はよく聞かれますが、ブラックな保育施設ではこのやりがいの搾取がよく起こります。
「やりがい搾取」とは、労働者に「やりがい」を強く意識させることにより、経営者が本来支払うべき賃金の支払いを免れる行為を指すと言われています。
保育士が小さい頃からの夢だったり、子どもが大好きだからやり続けたいと思っている人もたくさんいます。
しかし実際に働いてみたら、思っていた職場環境とギャップがあって辞めてしまう人もいます。
保育士は低賃金、サービス残業などが問題になることが多いのですが、それ以外にも経営者や職員のモラルが低いせいでブラックな職場になってしまうこともあります。
これは、保育園だけではなく保育施設全般に言えることです。
モラルの低下は搾取とブラック化の原因になる
経営者や職員のモラル低下の具体例
- 施設長の私用(犬の散歩など)を頼まれる
- 施設長が業務中に私用で出かける
- 保育士が特徴のある子どもにあだ名をつけて呼んでいる
- 家族経営で保育士の給料は抑えて経営者だけ潤っている
上記のようなことのいくつかは、私が実際に働いていた保育園でもありました。
施設長の私用を頼まれる
家族経営の保育施設では、私用を頼まれることがあります。
一般の家族経営の会社でもあることかもしれませんが、良くないことだと思います。
特に、保育園では職員が一人抜けるだけでも子どもに目が行き届かなくなり事故につながりやすくなります。
また、予定していた保育ができないこともあります。
施設長が業務中に私用で出かける
現場では一人でも人手がほしい時に、歯医者などの私用で出かける施設長がいます。
これも保育士の不満につながり、職場の雰囲気が悪くなる原因です。
保育士が特徴のある子どもにあだ名をつけて呼んでいる
保育施設の中には発達障害などの診断がなくても、個性が強い子や、少し変わった特徴を持った子もいます。
そういう子どもに良くないあだ名を付けたり、からかう職員がいる場合はブラックな職場の可能性があります。
このような職員は、新人保育士や、大人しい保育士をからかったりします。
自分の子どもが職員にからかわれていることも知らずに預けている保護者がいるのです。
家族経営で保育士の給料は抑えて経営者だけ潤っている
これはあからさまに不興を買う行動です。
私がパートで働いていた保育園では、高級外車で毎週保育園に立ち寄る経営者がいました。
ヒールの高い靴、ピアス、マニキュアなど装飾品も派手で、保育園児用の昼食の食材を毎回運んでいました。
その方が入って来ると、子ども達は驚いた表情で見上げていましたし、職場全体が白けたムードになりました。
保育園がブラック化して起きること
ブラック保育園では、運営のために国から支給されている委託費を保育士の給料や備品購入に使わないことがあります。
いったいそのお金はどこに使われるかというと、個人の利益や、更なる利益のために新たな保育園を建てることなどに使われてしまいます。
保育園がブラック化して起きること
- 備品がボロボロなのに新たに購入しない
- 職員の配置がいつもぎりぎり
- タイムカードを早めに切らせて残業代を少なくさせる
- 正社員の給料が極端に少ない
- 休憩が取れない
- 子どもがストレスのはけ口になる
- 人間関係が悪い
- 施設長が保育士の言動を常に監視している
上記のようなことは、保育士を疲弊させ保育士不足を招きます。
健康・お金・時間が搾取されているかも
健康とお金と時間を失っていませんか?
ブラックな保育施設で働いていても、慣れてしまうと自分で気付けないことがあります。
「お金を頂きながら憧れていた楽しい仕事をしているのに、給料のことなんて言えない。」
「一人前の保育士にならないとお金のことなんで言えないし、言える立場ではない。」
このような考え方は、組織の中にいると知らず知らずのうちに刷り込まれてしまうのです。
健康、時間、お金を不当に取られ、搾取されていることすら気付かなくなります。
子どもが好きだから保育の仕事がしたいということも健康やお金があって叶うものです。
保育士は、「健康・お金・時間は大切なもの」という考えをもっと示してもいいのではないかと思います。
保育士への労働環境や賃金の考え方は昔のまま
昔は、保育士(保母)は憧れの職業で保育士になる方はたくさんいたようです。
また、保育士は寿退社をする方がほとんどでしたので、給料を上げる必要がない職業でした。
でも、今は保育士になりたい方が少なく、なってもすぐ辞めてしまう。
また、仕事をするなら寿退社しないで働き続けたい。
という昔とずいぶん変わってきました。
なのに保育士の賃金や労働環境は、あまり変わっていないのです。
男性保育士が増えない原因にもなっています。
この古い考えを引きずっていることが搾取にもつながっています。

搾取されない働き方
まずは派遣で働いて様子をみるのもおすすめ
正職の保育士として長く仕事がしたいと思うかもしれませんが、正直に言って保育園は当たりはずれが多い職場なので、まずは派遣保育士として様子をみてもいいと思います。
保育士の場合、派遣保育士と正社員の給料が雲泥の差になることはありません。
ボーナスは年に1ヵ月~2ヵ月分の場合も多いので、ボーナス分を節約すればほとんど変わりません。
また、6か月の派遣期間中に働きながら様子を見て良さそうな園だったら、保育園側と保育士の双方が合意した場合に改めて正社員になる紹介予定派遣というものもあります。
保育施設は実際に働いてみないと続けられる職場かどうか本当に分からないので、正社員を希望していても最初は派遣で働いたほうがいいです。
派遣保育士は基本的に残業はありませんが、あったとしても残業代は支払われます。
私が派遣保育士として働いていた時は、残業自体ありませんでした。
また、派遣で働くと仕事内容も正職のように責任のある仕事が回ってくることは少ないので精神的負担も少なくなります。
派遣は数か月ごとに契約更新をしながら働くので契約期間働いた後、あまり合っていないようだったら契約を更新せずに、派遣会社に別の保育園を探してもらうこともできます

団結して園に直接交渉したり介護・保育ユニオンに相談してみる
転職するより、保育園を改善させて働き続けたいと思う方もいると思います。
人間関係が良くない保育園では、職員同士が協力したり団結して主張することが難しい場合もあります。
しかし、数人が文句を言っていても単なる愚痴とみられるだけですが、職員同士が団結すれば愚痴に終わらず意見としてまとめることができるかもしれません。
それでも話が通じない時には労働基準監督署に報告をするべきなのですが、個人で動いても書類などを用意しなければならなかったりと難しいことが多いので、まずは介護・保育ユニオンに相談するほうが良いと思います。
最近、保育士によるストが行われた保育園もあるようです。
出典

終わりに
労働環境が良くない保育園はたくさんある思いますが、保育士同士の人間関係が良くないことで余計に改善を難しくしている場合もあります。
男性保育士や年配の保育士が入って来た時などには、排除しようとせずに温かく迎えてあげて、新しい考えを受け入れていくほうが結果として働きやすい職場になると思います。
保育業界は当たりはずれがありますが、ブラック保育園と気付いた時は迷わず転職することをおすすめします。